誹風柳多留異本考
川柳の経典とも称すべき「誹風柳多留」には古来二種の流布本がある。一は原本で他の一は異本である。 原本とは刊行当初の原版本であって、異本とは原版本を改刻して発行したものを言うのである。尤も二種といっても原本異本の体裁や内容等が全然変わったものでは無く、唯一小部分の改竄を施しただけに過ぎないのである。 即ち其の体裁は原本異本共別に変わったところもないが、内容の秀句中、役人の悪口・賭博・淫猥・罪人の句其の他風紀に関する、如何わしき句を随所に削去った跡へ、埋め木をして更に他の句を改刻したのが異本であるから、単に体裁だけを見ては異本であるや否やちょっと判別し難いが、改刻を施した部分は其の句だけ黒色が目立って濃いか或いは薄いか、にじみがあるか、さもなくば書体が変わっているか、歪んでいるかしてあるのを例とするから、此の点に注意すれば必ず夫れと鑑別出来るのである。 而して異本刊行の原因は何であるかというと、それは寛政年間松平越中守定信が幕府の政事補佐として、諸政の改革を行い特に風俗の矯正に力を尽くした時、出版物取締令を発したのに基いたものである。 地本問屋行事共え申渡 書物之儀毎々より厳敷申渡候処、いつとなく猥に相成候何に不寄行事改候而絵本絵草紙類迄も風俗之為に不相成猥ケ間敷事等無論無用に候。一枚絵類は絵而己に候はば大概は不苦尤。言葉書等有之候はば、能々是を改如何成品は板行為致申間敷候。右に付行事改を不用者も候はば早々訴可出候。又改方不行届或者改に洩候儀候はば行事共越度可為候。 右之通想得可申候。尤享保年中申渡置候趣も猶又書付にて可相渡候間此度申渡候儀等相含改可申候。 寛政二戌年十月二十七日 前記の如き取締令を発して、風俗を乱すもの及び政策上に不利なる絵本読本絵草紙類迄も、厳に其の発売を禁止されるという有様であったから、風俗詩人事詩として世態人情を描写した川柳も亦其の厄を蒙って、如上禁忌に触れる句などは、之を改竄せねばならぬ事となり、茲に柳多留の異本が刊行されることとなったのである。 此より先き享保七寅年十一月に、好色本禁止令及び諸種の出版物取締令を発せられてあったが、卑猥の挿画ある好色本等取締を主眼としたもので、それも年と共に漸次緩やかとなったのであるから、川柳界に於ける萬句合興行の如き年々歳々繁昌して、随分露骨に淫猥なる「末摘花」式の下かかり句が、暦摺中に散見してあるに拘わらず、後年随所に末番の破禮句ある「柳多留」原本の公刊に対しても、取り締まり範囲外であったものと見え検挙沙汰迄に至らなんだが、寛政改革の影響は遂に川柳にも波及したばかりでなく、之が為永く川柳の精神的衰亡の誘因を成すに至ったのである。 併しながら此の時代の取り締まりは頗る不徹底なもので「柳多留」を検討して見ると異本でもて改刻した禁忌句の外に、夫れと似通った程度の句若しくはより以上禁忌に触れそうなものと想われる句が点々残ってあるのに、多くは不問に付し(其の実役人などは一々句意の判別が付かぬ事であったろう)只二三の句を改刻したに止まっているのは、誠に迂闊千万、滑稽至極な取締と言うべきである。 川柳研究の熱心家今井卯木氏は「風俗図説」に「柳多留」の体裁に於いて其の梗概を解説せられ、「川柳獅子頭」誌上に「柳多留」異本に於いての研究を発表せられて、斯道に多大なる裨益を与えられが、遺憾ならくは未だ全編を説き尽くされず、且つ原本と異本との対照句中往々誤謬の点もあるように思う。 無論予と雖も「柳多留」の全部を通して校合し研究して、完全なる底本を得たという訳では無いが、多年苦心の末、初編より二十五編迄各編数十部の版本を閲検した結果、左記の如き異本あることを確かめたのであるから、今井氏の所説と重複する分もあるであろうが、茲に検了の全部を抄録しておく。
○印の句は原本にして次の一字低きは異本の句なり。又漢字及び仮名遣共本の儘改めず。以下皆之に準ず。 (と檉風記にあるが、読みやすく一部変えて掲載)
初編 四ヶ所改竄せる所あり。
○役人の子ハにぎにぎを能覚 めっかちハ大イじめくらハむごくする ○枕絵を持ッて炬燵を追い出され 軽石を一ッまじって義をたてる ○母の手をにぎって炬燵しまわれる 法けんのすすめで四本木をうえる ○坪皿へ紙とはよほど学がたけ 歌かるた下女またぐらへ取リためる
柳多留は第三編以下には、毎葉丁附が付いてあるが、どうしたものか初編には原本及び異本共丁附が無い。従って其の丁数順序は前後不揃いのものが多く、孰れの順に拠るのが本当であるが全く不明である。尤も内容の句が違うわけでは無く、只前後不揃いの製本に成って居るばかりであるから、強いて丁数順序などを論議する必要は無い。又巻尾に筆耕彫工等の名も書いた奥付けを付したのもある。これ蓋し出版当初の真正な原本であろう。
二編 未だ内容句 異本に接せず。
本編は巻首二重輪圏内の「家内喜多留」題簽中二編とある額上に、蠖屈斎、義孝(XX○?)の篆字雅印二顆の落款を板本に摸刻しあるものと、之を欠如せるものとの二種あるが内容は同一である。二編も初編と同じく丁附が無いから、丁数前後不揃いのものが多いのである。
三編 五ケ所改竄
十三丁表 ○坪皿の明りを見て行しち使 あらの出ル長カ口上は鐘の銘 二十二丁表 ○寝ごい下女車がかりを夢のよう 待ッて居る座頭ハゆびのあかをより 三十丁表 ○ままへ行人ハ女にびれつかず 気のどくさかいどう湯つけくうとむせ 同右 ○さまざまに扇を遣う奉行職 かんざしをふところにして木戸を出る 三十七丁裏 ○かさなって居るでけんしのにが笑い うつつくが居ようと覗く枩が岡
四編 七ケ所改竄
六丁表 ○じっとしていなと四五枚口でとり 行クと先ヅじゃまだと渡す根津のぎう 十丁表 ○両の手を出して大屋へ礼に来る 京女立ッてたれるがすこしきづ 十六丁表 ○へびぜめをあぐらで噺すかがみとぎ 鳥かごのそうじ糀屋ほどにする 二十五丁裏 ○むめうえん付ケる夜ばいは不首尾なり 風呂しきをとくとかけ出す真繪Z 二十九丁表 ○間男に一言ンも無イせわになり げっぷうをしてからつきや二杯喰い 三十九丁表 ○追はぎも成りたけ人はころさぬ気 若死ニと聞イてくやみに念をいれ 同右 ○間男がだくと泣やむ気のどくさ 寺小性とぼしかけ程巻イている
五編 改竄句十六ケ所 十四丁目及び三十七丁目二葉全部削除
三丁表 ○きつい目が出たと口うら壱分だし 御てんもの来てくだんせを忘れかね 六丁裏 ○蚊や一ト重でもよばいにハきつい邪魔 昼飯を外トからどなる手習子 八丁表 ○枕絵ハ添てもしち屋値にふまず 祇王祇女田舎娘に押ッぺされ 十四丁表 ○どの幕へ行とげい子をつけて行 ○いとびんの旦那ハものがいいやすし ○あと押へ通るときねをふり上げる ○だといって今百両ハ出されまい ○金平の夢を見て居る枕蚊や ○まな板へあられで疵を付ケはじめ ○飛鳥山ばたら三ミせん百でかり ○入レかみをして品川をやたらほめ ○口に戸をたてぬと御菜つとまらず 十四丁裏 ○かけ取の跡トへ廻すは丈夫なり ○政宗をくったと質屋そっといい ○立ッて居て座頭のぬれる俄雨 ○着がえずに芝居帰りの夜をふかし ○てんがいをぶるぶるとして吹キはじめ ○にって来たなんとどこぞへこぞろうか ○二人リ目は女房の傘をかしてやり ○国さかい美濃の方でハゆだんせず ○こう当の不足ハたった壱弐寸 (異本には十四丁目無し落丁の儘流布。此中七編へ五句、八編へ八句、十九編へ四句更換。かけ取の跡トの一句残となる) 十六丁裏 ○夜盗ども見ろと両手でざらを寄セ 塀ごしに有るに高なわ越えて行 二十二丁表 ○よし町文物申でもって来る ぶっかけがよいと花嫁いいかねる 二十三丁裏 ○あなどって座頭の女房おさえられ とうとうんのんで燈明せんを取り 二十四丁表 ○すっぱりと盗人にあう一人者 十四日きのうはどうできょうは首 二十九丁裏 ○物もうというハぞうにの出るの也 (異本此の句削る更換句無し) 三十丁裏 ○間男を知ッて旅立にえきらず 物もうというハぞうにの出るの也 三十一丁裏 ○ばくえきの事ハそうめいえいち也 甲州は針やあんまに事をかき 三十六丁表 ○折ふしは車でも出るむじょう門ン 四つ手駕月のみやこをさしてかけ 三十七丁表 ○五尺ほど有ル書出シへ壱歩やり ○にげ尻でかいばくわせる寺おとこ ○いつちよい町はどんどんかかかなり ○まだ死もせのに泣イて叱られる ○ちつとべいいもハあるがと村仲人 ○梅若は旅かげまにはいやという ○やれでかいたくみをしたと田舎公事 ○八百屋から売ルとはぞくのしらぬ事 ○もちっとの事で日蓮片タ月見 三十七丁裏 ○五十ぞう留守のようなは客があり ○あしたでも刺てくれろと飛車が成り ○まあうんといへと無尽のゆびをおり ○すいりょうてむこうさじきのもらい泣 ○またぐらへ手をつっこんで下女ハぎみ ○えぼし親祖父のかたきもうてという ○御の字に成ッたと花見したくなる ○行水に寝る程嫁ハかこわせる ○どうしても泊て来たがていしゅまけ (異本に三十七丁目無し、落丁の侭行はる。此中七編七句、八編へ五句、九編へ一句、十九編へ五句更換) 三十八丁表 ○坪皿へ紙をはるのは人がよし めしびつへ顔をつっ込む強い暑気 ○家とく公事じんきょをさせたが相手也 摺子木でこつくは安い法事也 三十九丁裏 ○ころぶからそれではやるとけい子いい むぞうさなものは桶屋のぶん廻し 四十丁表 ○間男をせぬを女房は恩にかけ 寝たがって懸取を待つ能い工面 四十一丁表 ○月ちがいどれもぬいたは十五日 一文は取りそうもないなりでふき
六編 改竄句二十二ケ所あり他に二十四丁目一葉全部削除
三丁表 ○まけたやつ百を手玉にとって居る またかよとくらうに思う里の母 三丁裏 ○御てんもの湯がいて喰へばあてられず くわいらいし箱をたたくがのり地なり ○根津のぎうつとめを土場へ取に来ル 子ぼんのう小判もたせてこまるなり 四丁裏 ○御紋より留守居の口ハ能クまわり 大部屋の自佛はじめて十貫目 五丁表 ○あくる日は夜討としらずすすはらい 姉むことよりやは母のてぬけなり 五丁裏 ○御蔵前ぬれて通るハ地うた也 けんぺいをいうのが乳母の癖になり 六丁裏 ○御預り申て置クと勝ったやつ いつわりをいうかもしれずあづさ弓 八丁裏 ○青綱でいつたがみんなてかけ方 しゅうとめもおんなじようにぬり廻し 十一丁表 ○下女へはい先が有るのではいもどし わらじくい迄は能因気がつかず 十三丁 ○心中の帯をして居るむごい事 今頃は灰になつたと灯籠を見 ○出会茶屋あやうい首が二ツ来る 去り状をかく内しちを受けに遣り 十六丁裏 ○勝った時仕廻う所だとぐちをいい 思切るすがたのこぞる雨やどり 十七丁表 ○じんきょをばかたつくるしいやつがやみ 寝坊めがと張良はしかられる 二十四丁表 ○若死ニと聞イてくやみに念をいれ ○寺小姓とぼしかけ程巻イている ○しゅうとめもおんなじようにぬり廻し ○風呂しきをとくとかけだす真幸瓜 ○京女立ツてたれるがすこしきづ ○鳥かごのそうじか糀屋ほどにする ○いつわりをいうかもしれずあづさ弓 ○寝坊めがと張良はしかられる ○行クと先ズじゃまだと渡す根津のぎょう 二十四丁裏 ○どのうらへ行ツてももてぬ浅黄裏 ○古着買くりにいんどう聞て居る ○盆持ツた所科のりものへはしりつき ○持ツほどのものに字を書クぬけ参り ○げつぷうをしてからつきや二はいくい ○うばちつとたしなめぐらい屁ともせず ○大和茶のばばあ狽ホかりうんで居ル ○大名は小判の中によく寝いり ○わらじくい迄は能因気がつかず (異本に二十四丁目無し、此中四編へ七句本編他のカ所へ十句、二十編へ一句更換) 二十五丁裏 ○勝ツたならしまえあしたハ遠くだぞ 持ツほどのものに字を書クぬけ参り 二十六丁裏 ○鳥の町舟でもふせて行ところ 先づ盤の足をねじ込む下手将棋 二十七丁表 ○田舎不義とうまる籠が二ツ出来 一トけんかして女房はしちを出し 二十七丁裏 ○宅番ハ是ハならぬともりをおき 下駄を見にいらぬとうふを買いに行き 三十一丁表 ○よく〱の事か夜ばいハ毛をむしり うばちつとたしなめぐらい屁ともせず 三十五丁表 ○ぼんござへはわせる子ぞう百に成 大名は小判の中によく寝いり 三十六丁表 ○為になる間男だからしたといい 大和茶のばばあ狽ホかりうんで居ル 三十九丁裏 ○わたくしハ子ばやい方と下女おどし 古着買くりにいんどう聞て居る 四十丁表 ○両の手が自由に成ルと店を追イ 盆持ツた所科のりものへはしりつき
七編 二十五ケ所改竄句あり
三丁裏 ○つかまえるそうだとあるき一本きめ 梅若は旅かげまにはいやという 四丁表 ○あのあまをよしんばおれがしたにせい 行水に寝る程よめはかこわせる ○御てん山三昧のとなりハふせる音 どうしても泊って来たが亭主まけ ○是がうるさいとどう取奉加帳 あとおさえ通るときねをふり上る 八丁表 ○はなつぱり是べいかけたなぞといい 五十ぞう留守のようなは客があり ○お勝ならもつとあがれと夜そばいい あしたでも剃てくれろと飛車が成り 十丁裏 ○こりゃ見なとはだけて見せるまけた下女 入れがみをして品川をやたらほめ 十一丁裏 ○のつきんた御いしゃじんきょと申あげ 口に戸をたてぬと御菜つとまらず 十二丁表 ○えいやっと夜ばいは足へたどり付 まな板へあられで疵を付けはじめ ○せちんでもうよしという手鎖人 飛鳥山ばたら三みせん百でかり 十五丁表 ○きり〱とぬげとおいはぎすいつける 八百屋から売るとはぞくのしらぬ事 一六丁裏 ○人買の頭からはなをくつたらし まだ死もせぬのに泣いて叱られる 二十一丁表 ○くどきぞん御てい女さまと手持なさ 金持ちのこわいろでごぜくどかれる ○三みせんハつけたりころび大イや也 なぜ貫目ものといつたとはしたにち 二十二丁裏 ○富札の引さいて有ル首くくり 坂東十三ばんを四つ手ぬけ ○くどくやつすいつけながらにじり寄り かたきをばからりころりとつけねらい 二十五丁裏 ○松の木へしばられて居る金飛脚 さい日に御用きんきんもので出る 二十六丁裏 ○たくみとハ家老の方へつけたい名 かがみとぎへかさぬようにおさえつけ 二十九丁表 ○勝った日はいけんいわぬが女なり 田楽へすいつけに来る夕すずみ 三十三丁表 ○五日より五日迄なり下女が色 おてらさま是はむごいと湯でいい 三十八丁裏 ○惣高の勘定をするまけたやつ 花の留守五つ半うち四つをうち 四十丁表 ○梅若の戻りに聞イたみけん疵 揚詰めの座敷赤子の聲がする 四十二丁表 ○是からハどこですべいと麦をかり 江戸ものの生れそこない金をため ○さねもりをかわかぶりだとたれかいい ふきとばされそうなさむらい一人連 四十二丁裏 ○本くじはたが取ツたかと坪をふせ どくだてのように初回は喰わぬなり
八編 二十五ケ所改竄
七丁表 ○見つかつてしいのみ程にして逃る こそこそとはなせば妾気にかける 七丁裏 ○おつかないまくばいをするいせの留守 あかはらを釣つて箱王しかられる 8丁裏 ○いいわけをして間男ハしかられる ニタ人ふちちまきへそへてやりはじめ 十丁表 ○はりがたはずい分よしと局いい もちっとのことで日蓮片月見 十一丁裏 ○鷹の羽の家中死スともほハつまず ニタ人目は女房の傘をかしてやり 十二丁裏 ○取ほした上で間男よばりする こう当の不足はたった一二寸 十四丁裏 ○せんがく寺余日も無イにやかましい ふって来たなんとどこぞへこぞろうか ○御妾の親取ルとまけ〱 国ざかい美濃の方ではゆだんせず 十五丁表 ○間男に大家いんぐわといとこ也 一ト寝入しても四條のわらい聲 ○余ツほどの疵を夜ばいハひしがくし 俄雨不二を目あてにかけつける 十五丁裏 ○間男を切レろとていしゅほれて居る あね女郎小よりを笑い〱より 十八丁表 ○おまえいつ気が直ったとひんを打 ちっとべいいもはあるがと村仲人 二十一丁裏 ○くらやみへ牛を引込ム長つぼね もう一本ほしそうにさす御用たし 二十三丁表 ○はたらきが二人リうせたと木戸でいい どの幕へ行くとげい子をつけて行 二十四丁裏 ○きらくしたのでじんきょせぬ中納言 だといって今百両は出されまい ○勘当の内にかるたが大あがり 金平の夢を見て居る枕蚊や 二十七丁表 ○御隠居とこし元山でいろをする いいまけた方からぶってかかるなり 二十七丁裏 ○こんみりとしたこともなく下女はらみ しん水のらうをたすける下女が色 ○下女の色もやいにするでらんかしさ その気ざし有て羽織はもたせたり 三十丁裏 ○八九人べい来ましたと下女ハ泣 はんだいに升とおやとが二つ三つ 三十三丁表 ○片目見せないものだと下女へはい よし原はじゅ道が一つかけて居る 三十五丁裏 ○たくみとハ家老の方へつけ度キ名 にげ尻でかいばくはせる寺男 三十六丁裏 ○二人りして出すとハけちな出合茶や やれでかいたくみをしたと田舎公事 三十八丁裏 ○おつけ沢山なを御さいそびき出シ いつちょい町はどんどんかつかなり 四十一丁裏 ○どの客がづばらませたと遣手いう いとびんの旦那はものがいいやすし 本編には巻首にある角力の取組に見立てた土俵の絵の周囲即ち土俵、四本柱、及び○間の幔幕に黄色と萠黄との彩色を施して、幔幕は初瀬、和哥名、柳水、八橋、和泉、桜木の各連名を種々の雅印に散らし染抜模様に擬した一本がある、それは出版当初の原本であるが普通原本と異本にはこの彩色なく白地墨絵の儘である。
九編 十ケ所改竄、十一丁目壱葉全部削除
四丁裏 ○五万石すてれバ五百石ひろい 百人の中へ一ト声ほととぎす 七丁表 ○刃ものざんまいのちそうが越度也 すてられたおばもぜんたいくらいぬけ 十丁表 ○間男もかりそめなら二度め也 好きな乳母本屋をしかり〱見る 十一丁表 ○よいつぶれようさとごぜハほめられる ○兄さんとしゃれてせなあに逢いに出る ○立聞キハ今来たように内へ入り ○雪隠でぶどう一トふさ御用喰い ○ぶつさらいおるとおどり子どうづかれ ○日ぐれからかこわれへ来るよ入道 ○すてられたおばもぜんたいくらいぬけ ○どなただと中将ひめハまぼしがり ○待って居る座頭ハゆびのあかをより ○好きな乳母本屋をしかり〱見る ○行まわりかんまわり来る出来たやつ ○百人の中へ一ト声ほととぎす ○ぬけがらのいくつが出来る花の留守 ○田楽ハ田でたのしむのよみがあり ○けんぎようの妾ものぼしのよい女 ○ならものハ内イ分てすむ道具也 ○茶の会へつねのあたまハ下手らしい (異本に十一丁目無し、三編へ一句、九編へ七句、十編へ二句、十六編へ二句、十九編へ四句更換、ぬけがら、田楽の二句残る) 十五丁裏 ○ぬき所コわるいさかいと公家衆いい 七月の八日玄宗づつうする 十六丁表 ○とう丸にのるべいはさとものしいい 百のかしそれ覚えてか日まちの夜 二十丁裏 ○ぼんござへこがらしのする鳥の丁 行まわりかんまわり来る出来たやつ 二十三丁裏 ○こわそうに四わりをふせる松の内 五尺ほどある書出しへ一歩やり 三十五丁表 ○色〱にからだのかわるばくちうち 日ぐれからかこわれへ来るよ入道 三十五丁裏 ○じんきよをばかたっくるしいやつが病ミ ぶつさらいおると踊子どうづかれ 四十二丁表 ○下女が部屋半いさかいでくどく也 茶の会へつねのあたまハ下手らしい
十編 十ケ所改竄、七丁目壱葉全部削除
七丁表 ○安かつおとく心ンつくでなやむ也 ○あまでらハ男の意地をつぶす所 ○まくわ瓜壱ツよじよじ持て来る ○夕すずに成て出ようとなまけもの ○親分のりづめよしかをぬけにいい ○角兵衛じしねれけてくると仕廻也 ○せめられて下女留守の事有ッたけ ○きついやぼどろぼうらしく引ぱられ ○藪医そのくせにうるさく多言也 七丁裏 ○花の雨下女色あけをむごいこと ○かな釘とめめずと下女ハとりかわし ○けころ見世地犬のようなちんをだき ○なすびうり二ツと三ツづつつかみ ○山門へええ年をしてあがるなり ○美しい神子打わらのように成 ○壱歩でも有ル内むす子とかまらず ○弐三ケ所へめぐったとハ見えぬよめ (異本に七丁目無し、十三編へ五句、十四編へ九句、十六編へ一句更換、尼寺、山門、美しいの三句残) 八丁表 ○囲レへいつとう来るかつつはらみ くら寝へ廻るで四つ手百高し 八丁裏 ○盤上ハ坪におされるむしん茶屋 うでに巻きつけて物干かりに来る 十三丁裏 ○つるむ猫枕ぞうしでおつちらし げんぷくも二タ剃刀は女なり 十五丁裏 ○それぞれの道具平でハふせにくい さかづきがどこらへ来たと料理人 二十一丁裏 ○うんの無イ妾二度迄ころぶなり 女房のくろう草木きばみ落ち 二十四丁表 ○ええ男だのにまおとこ気がつかず おめかけのひるまは至極無口也 三十丁表 ○女房 のまた迄明ケるさるぐつわ そうむごくいわぬものだとにじり寄り ○枕絵を高らかによみしかられる 女房はやかぬがたてていぶす也 三十七丁表 ○のせて居て下女は二タ声へんじする ならものは内分ですむ道具なり ○今川も酒の次にハ坪の事 けんぎょうの妾ものごしのよい女
十一編 十一ケ所改竄、十七丁目及び十九丁目他へ更換。
三丁表 ○親類イもないが間男施主に立 養老連 婦美 俄雨かけられるだけかけるなり 桜木連 大柳 八丁表 ○よく知ツて来たなと坪をおつふせる 木でしたを見て来生きたを料らせる 十丁表 ○四わりでも坪はこわいと女房いい 女房の諷よっぽどひどいよい 十一丁裏 ○御地頭と公事とハ古事をしらぬやつ おめかけの母ハ大きな願をかけ 十四丁表 ○くどきようこそあろうのにぬきみ也 月二ツ出家けんごにまかりこし 十七丁表 ○せんひょうハすきちきりにぶら下がり ○度々ちょくし上の義にあらず雷の事 ○駿河から遠江までかたぐるま ○御てんもの来てくだんせをわすれかけ ○めしびつへ顔をつつ込ムつよい暑気 ○四ツ手駕月のみやこをさしてかけ ○祇王祇女田舎娘におつへされ ○十四日きのうハどうできょうハ首 ○寝たがって懸取を待ツ能イ工面 十七丁裏 ○にわか雨かけられるだけかけるなり ○しばられて居るがけんかに勝たやつ ○木のはしで無イのが海のはたを行 ○壱文ハ取りそうもないなりでふき ○座敷ろう大工を入レて〆てみる ○てい女ぶり今じゃ元ト直にしかねたり ○塀ごしに有ルに高なわ越エて行 ○ちんどくをきらすまいぞと呂后いい ○つげ口をするでふにょいな諷の師 (異本十七丁目無し、五編へ八句、十一編へ四句、十三編へ二句、十五編へ二句更換、駿河から、しばられて居るの二句残り) 十九丁表 ○ぶっかけがよいと花嫁いいかねる ○雨戸くるたびに甘干じゃまに成 ○すり子木でこづくはやすい法事也 ○金ンだだをいうとまんじゅうさまたそよ ○むぞうさなものハ桶屋のぶん廻し ○とうとうんのんでとうめうせんを取 ○月二ツ出家けんごにまかりこし ○くわつ〱というと帝ハ出来上り ○たから船並木の中をよんで行 十九丁裏 ○江戸ものハ生レそこない金をため ○最ウ壱本ほしそうにさす御用たし ○あね女郎小よりを笑い〱より ○一ト寝入しても四條のわらい聲 ○花の留守五つ半うち四つをうち ○揚詰メの座敷赤子の声がする ○俄雨不二を目あてにかけつける ○どくだてのように初会は喰ぬなり ○ふきとばしそうなさむらい壱人連 (異本十九丁目無し、本編へ三句、五編へ四句、七編へ五句、八編へ四句、十五編へ二句更換) 二十丁表 ○二人とも帯をしやれと大屋いい 枡花女の出る土弓場は入りがあり 二十八丁裏 ○鳥ハものかわとやめないまけたやつ 雨戸くるたびに甘干じゃまに成り 三十二丁表 ○間男のきられた所に爪のかわ つげ口をするで不如意なふうの師 三十三丁表 ○四位の少将へ偖太夫きずをつけ 座敷ろう大工を入れてしめてみる 三十四丁裏 ○おつふせてばかでせなかをかいて居る 木のはしで無イのが海のはたを行 四十丁裏 ○きんちゃくを切ル事色にひしからし たから船並木の中をよんで行
十二編 十五ケ所改竄、二十一丁及び三十七丁の二葉他へ更換
六丁裏 ○ころびおれやいとおるす居大ふざけ 木綿うり京だんをいういらぬ事 七丁目表 ○まくら絵を出してしちやへしょって行 さかづきをまん中へよめさしてにげ 八丁表 ○あんこうにきんちゃく切がニ三人 銭がせつかん針が出てとりさへる 十丁表 ○ころぶハ上手〱おどるハお下手 夕べのはくぜつ今朝のは喧嘩なり 二十一丁表 ○嫁の着がえをのぞくとちじむなり ○ふだん着て番頭えらい事をする ○しろものと見えてさじきに目立也 ○むごい事らりようの袖へ鈴をつけ ○あの人とそしてだれだと下女が母 ○気の知れぬ客かんざしをぬいて寝る ○天とう正直あばたがうれのこり ○ぞくの気がはなれぬで後家目立也 ○ぬいならいほめるとどつが持って行 二十一丁裏 ○壱人ものかみさんたちになぶられる ○ちんばひきながらまちんを買に来る ○そろ〱と後家をじゃ法へすすめ込 ○よくに目がくれてぼたもち喰ッて居る ○三味せんをつめてひいててさがされる ○盃をまん中へ嫁さしてにげ ○鑓がせつかん針が出てとりさえる ○木綿うり京だんどをいういらぬ事 ○おかしさハ夫婦けんかをちんがほえ (異本二十一丁目無し、本編他へ七句、十三編へ三句更換、嫁、ふだん着、しろもの、むごい事、天とう、ぞくの気、ぬいならい、壱人ものの八句残) 二十二丁裏 ○へんじょうなん子四郎兵衛にとっかまり 御知行は末社ほどある神の末 二十三丁表 ○そのはらをあんとすべいと下女がせな 若い手をかりてむすめの灸をすえ 二十三丁裏 ○出合茶屋あばたつつらが金を出し 朝がおは朝寝のものにしかみずら 二十六丁裏 ○たいこもちちゃお帳につくところ そろ〱と後家を邪法へすすめ込 二十七丁裏 ○かれらふぜいをといたぶる下女が宿 よくに目がくれてぼたもち喰ッて居る ○仁ンのある人はりかたを作り出し 三味線をつめでひいててさがさせる 三十二丁表 ○五十ぞう江戸をくらったやつとにげ 死ぬものが損とは後家へあてこすり 三十三丁裏 ○だれがもう水をくむはと勝ツたやつ 兄弟の中へ寝るから中納言 ○らんびんの男のかけるときわばし いさぎよく治療を頼む向う疵 三十七丁表 ○坂東の十三ばんを四ツぬけ ○かたきをばからりころりとつけねらい ○いいまけた方からぶつてかかるなり ○はんだいに升とおやとが二ツ三ツ ○かがみとぎにかさぬようにあさえつけ ○気のどくさかいどう湯づけくうとむせ ○かんざしをふところにして木戸を出る ○しん水のらうをたすける下女が色 ○その気ざし有て羽織はもたせたり 三十七丁裏 ○さい日に御用きんきんもので出る ○百のかしそれ覚てか日まちの夜 ○はんえきが首はおさきにつかわれる ○田楽へすいつけに来る夕すずみ ○おてらさま是ハむごいと湯やでいい ○金持のこわいろでごぜくどかれる ○なぜ貫目ものといったとはしたにち ○七月の八日玄宗づつうする ○ほれたやつ飯時分には帰る也 (異本三十七丁目無し、三編へ二句、七編へ八句、八編へ四句、九編へ二句、十二編へ一句更換、はんえきの一句残) 四十丁裏 ○やんわりとふせろ大家の戸があいた ほれたやつ飯時分には帰る也 四十二丁裏 ○させそうな身ぶりで弟子がやたらふえ 桜木連 花江 おかしさハ夫婦喧嘩をちんがほえ 社若連 松翠
十三編 二十二ケ所改竄
二丁表 ○こらえじょうなくぬす人をはらむ也 ぞくの気が離れぬで後家目立つ也 四丁裏 ○升あらためを見て御用かけて来る 天とう正直あばたがうれのこり 九丁裏 ○江戸のまん中へきんそう二人リ出る 角兵衛じしねれけてくると仕廻也 十三丁表 ○かさねてハ間男をせぬはづですみ 一歩でも有る内むす子とかまらず 十三丁裏 ○ひげをくいそらしてかげま後家へ出る 二三箇所へめぐったとは見えぬよめ 十六丁表 ○銭ツ切リぶてとおやぶんいけん也 美しい神子打わらのように成り 十七丁表 ○男ハの弐文もないと出合茶屋 気の知れぬ客かんざしをぬいて寝る 二十二丁表 ○うでの無イ男の通るときわばし 壱人ものかみさんたちになぶられる 二十六丁裏 ○せっきょうの太夫庄屋の嫁とにげ ちんどくをきらすまいぞと呂后いい 二十八丁表 ○ろう見舞巻せんべいやかんろ梅 てい女ぶり今じゃ元ト直にしかねたり 三十丁表 ○坪皿を持ツてかけ出すはなれ馬 あの人とそしてだれだと下女が母 三十一丁裏 ○出合茶や何か女のしいるこえ ちんばひきながらまちんを買に来る 三十四丁表 ○勝ツたやつ紙とわらとのさしをより なすびうり二ツ三ツづつつかみ 三十七丁表 ○出合茶や何か男のわびるこえ 安がつおとく心づくでなやむ也 三十八丁裏 ○五二べたのさいを東海屋へなげ あまでらは男の意地をつぶす所 四十一丁表 ○あはたがおさえた間男ハ命つく 四谷連 五連 一里塚の先に美人二十人 桜木連 冬始 四十一丁裏 ○一里塚の先に美人二十人 桜木連 冬始 (異本には此句削除の侭にて代句なし) 四十二丁裏 ○せいろうへはいつり乗てかえる也 柳水連 雨譚 なんぱつにしろては雪ではがたらず 柳水連 雨譚 ○こうした原田だと伯父御のわるだくみ 桜木連 栂風 吹からと頭から拾ううさいうき 桜木連 栂風 ○おさえのへのこきゅうめいをいたす事 霍亀連 古川 お妾のすすめて銀のちろり出来 伊呂波連 洗路 ○藍でくまどつたが先へつかまれる 四谷連 閑々 まん堂の中でいろふみ書ている 伊呂波連 洗路 ○いんきょやくつかみへのこでしかる也 登連 (異本には此句削除の侭にて代句なし)
十四編 二十二ケ所改竄
一丁裏 ○耳へ口あて間男へいけんなり かな針とめめずと下女はとりかわし 三丁表 ○はい込ムとどろぼうというむごいやつ まくわ瓜壱つよぢよぢ持て来る ○四ツほんだよと五二べたをほうり出し 夕すずに成て出ようとなまけもの ○まおとこの外に留守中別義なし 親分のりづめよしかをぬけにいい 七丁表 ○かんのよさごぜ間男をもつている 花の雨下女色あげをむごいこと 九丁表 ○花に坪皿とハさすが下も都なり 丈け四丈くらいにつもる秋の雪 二十一丁表 ○まおとこをしたのを見たとくどく也 けころ見世地犬のよなちんをだき 二十五丁表 ○人は武士なぜ蔵寝にあてがわれ きついやぼどろぼうらしく引ぱられ 三十一丁表 ○相州の住またぐらの乱レやき 玉川連 青觜 高倉はおいとしなげにだきこまれ 山水連 冬始 三十四丁表 ○蓮ス池でへのこくわえて引こまれ 井舛連 宮戸 せめられて下女留守の事有ツたけ 玉川連 五鶴 三十五丁表 ○となりから来てきんたまをやつともぎ 柳水連 石斧 下女が文書くもんだなと覗かれる 桜木連 律長
十五編 四ケ所改竄
七丁表 ○百まけてここにあわれを下女とどめ せんひょうはうすきちぎりにぶら下り 十一丁表 ○大名をなぶりひたいをちよつられる 度々ちょくし余の義にあらず雷の事 四十二丁裏 ○百人一首でかいへのこ壱本あり 伊呂波 琴亭 くわッ〱というと帝は出来上り 伊呂波 琴亭 ○しおさめにひな長持へおつかける 名木 浅裏 金だだをいうとまんじゅう様だぞよ 名木 浅裏
十六編 七ケ所改竄
三丁表 ○入レずみのあるがすけんへまぎれこみ 源左衛門またぎまわつたしよりよう也 八丁表 ○ミミつちくはりやれとせなあ坪をふせ はなれ山けんとくにする女旅 十一丁裏 ○めし人をせりものにする五丁町 物さしを嫁へなげるはうつくしい 十七丁裏 ○紋づけをみんなつけたで取ハとり 藪医そのくせうるさく多言也 三十四丁表 ○間男にいいこめられるわけがあり 気のしれたあばたをつれて出合茶屋 四十二丁 ○気を大きく持て若後家ハさせる 蓬莱 万疎 だなただと中将ひめハまぼしがり 桜木 律長 ○またぐらの毛も十三本下女ぬかれ いろは 洗路 たばこ入きめうてうらいだと捜し 桜木 律長
十七編 十五ケ所改竄
四丁表 ○よけいのくろう入婿のかわかぶり 桜木連 杉壽 すぐにじゅくだんいい男いい女 桜木連 杉壽 ○百両とへのこを禿床に置 高根連 鳳頭 まツ黒なもちをたかには見せて置 桜木連 杉壽 ○あんまりなてい主間男をこわがり 柳水連 玉簾 おぎゃ〱とつれぶしの恥かしさ 桜木連 杉壽 ○御番所へおし出しや嫁のへのこ也 桜木連 洗路 あたまを丸めてより政いらぬ事 桜木連 杉壽 ○あれおよしよと生へきわへ手を当る 若菜連 敵吐 梅にうぐいすさくらに生酔也 桜木連 杉壽 ○佛ツ弟子がくしるを見つけ笑う也 桜木連 洗路 さい日にかみゆいひくてあまた也 桜木連 杉壽 十二丁裏 ○ひだるかる馬にばくちを見せて置 借金は春永にして禮に来る 十六丁表 ○間男はからしん塚でとつかまり 母ちょきをあがって三つ四つよろけ 三十七丁表 ○三ツほしへみせるへのこの向う疵 五扇 行くときはもみじであたまかくす也 其岱 ○ねごい官女をばして行はかまだれ 洗路 吉原へ行くはとていしゅやってのけ ぬのし 三十九丁裏 ○間男のからだ壱尺が一両 雨譚 海山をこえて行くのにさしている 李牛 四十一丁裏 ○松ヶ丘へのこめうりの無イが行 田舎 下げにするそうで相てもかみをゆい 横好 四十一丁裏 ○長い目で見て居る内に後家はらみ 和笛 やぼな事どこへ御出と土手でいい 敵吐 四十二丁裏 ○戸にへのこかかれる程のふ四郷 竹林 さむらいのあそび大小なげ出し 梅守 ○わい〱天王のようにして夜ばい 敵吐 どりゃおれものもうとうばへたよる也 杉壽
十八編 五ケ所改竄、二十七丁目壱葉他へ更換
七丁表 ○よつほどのきずをよばいハひしかくし にげた跡禿は酔てたわいなし 十一丁表 ○はやらぬにつけてそろそろころび出し きたアねえ顔で関とりかしこまり 二十丁裏 ○道とえばばくちに付イていかつしゃれ 見えて居てゆかれぬ所はとおとおみ 二十五丁表 ○きたあねえ顔で関とりかしこまり ○二人ふちちまきへそえてやりはじめ ○すぐにじゅくだんいい男いい女 ○まつ黒なもちをたかにハ見せて置 ○おきゃあ〱とつれぶしのはづかしさ ○あたまを丸めてより政いらぬ事 ○梅にうぐいすさくらに生酔なり ○さい日にかみゆいひくてあまた也 ○知りもせぬいしゃを呼込ムそつちうぶ ○大こくの外をめがけるわるいやつ ○後家のしち男ものから置きはじめ ○おしけなくふちまけぬしへあげんしゃう ○よし町へ行にハ和尚たちのまま ○清水をいのれどあざハぬけぬなり ○あっけない夜をけいせいにすねられる ○ぶりがれん知らぬに家中気がつかず ○びいどろハ心づかいのみやげなり ○湯もどりの小ぞうをていしゅ左まえ (異本二十七丁中より八編へ一句、十七編へ六句、二十編へ五句、十八編へ一句、二十八へ一句更換、大こく、ぶりがれん、びいどろ、湯もどりの四句残る) 二十八丁表 ○しゃか十が出たですすはきげびる也 生酔をひよっとおさえてはなされず
十九編 十三ケ所改竄
七丁表 ○ひんにつまされて座頭の子をはらみ 立聞きは今来たように内へ入り 二十五丁裏 ○ひる見れば夜ばいりちぎな男也 雪隠でぶどう一ふさ御用喰い ス三丁裏 ○四十九日もたたぬにしたと口に寄せ 柳水 玉川 着がえずに芝居帰の夜をふかし ス四丁表 ○おっふせる坪へしつ心なくちり 桜木 カタル 立つて居て座頭のぬれる俄雨 ス四丁裏 ○した跡でせなあは麦をおこしてく 桜木 木夫 てんがいをぶる〱として吹きはじめ ス六丁表 ○間男とべつこんにする気の毒さ 梅 免町 よいつぶれようさとごぜはほめられる ス八丁表 ○めし時の小言がいやで下女はさせ 飛鳥川 風旦 兄さんとしゃれてせなアに逢いに出る ス十丁表 ○御てい主とこんいだつけとにじりより 飛鳥川 花口 御の字に成ったと花見したくする ス十一丁表 ○店子ところび家々をあげられる 桜木 木綿 正宗をくったと質屋そつといい ス十一丁裏 ○まけたやつよりかかるのをきざにする 飛鳥川 五鳥 またぐらへ手をつつこんで下女はぎみ ○せいては事をしそんずる毛切レ也 桜木 狐聲 えぼし親祖父のかたきもうてという ス十二丁表 ○くじろうとしたら冠の緒を切れ也 柳水 玉川 まあうんといえと無尽のゆびをおり ○内でしたたかしながらと女房いい 桜木 芹丈 すいりょうでむこうさじきのもらい泣き
二十編 十二ケ所改竄、二丁目壱葉他へ更換
一丁表 ○やかましいはづ間男に女房なし 後家のしち男ものから置はじめ 二丁表 ○程過てきつけの銭を聞てやり ○ぼうし針ほつたて尻に成てさし ○ばん付の銭を御門で乳母がかり ○げくわの箱小ぞうなんだかなめたがり ○いやな男も来ようなと浅ぎいい ○毎日耳についた跡トもちをなげ ○ほまれさは久しぶりにて人がぬれ ○弐度とハつれぬとさくらへ下戸くくし ○はやりいしゃかごに手紙が二三通 二丁裏 ○つくねんと花えんの上に三時さし ○四季折々のたわむれに母こまり ○色香たえにして常の下駄にあらず ○火を一ツくんなはけちなかこい也 ○江戸のきゃくはく人ンほねをくだく也 ○村の嫁今戸のでくでひなまつり ○中秋はどらにみのいるじぶん也 ○野にくらすやつらがままへ弐三人 ○かごにのるまで四郎兵衛がまえに立 (異本二丁目無し、本編へ一句、二十一編へ五句、二十二編へ二句、二十三編へ二句、二十九編へ二句更換、はやりいしゃ、つくねんの句残) 七丁表 ○まくら絵とさでんのならぶ古本屋 程過てきつけの銭を聞てやり 十六丁裏 ○手をくんで居るが間男気にかかり 清水をいのれどあざはぬけぬなり 十八丁裏 ○てうのはんのめいにいわく日々にまけ よし町へ行には和尚たちのまま 二十二丁裏 ○とめないと所ばらいに常世なる あつけない夜をけいせいにすねられる 二十六丁裏 ○おばばへこ〱の気あるでむづかしい 惜気なくぶちまけぬしへあげんしょう 三十二丁表 ○へのこも老イぬればはり形におとり 桜木連 狐声 里の母わるこんじょうで暑気見廻 柳水 雨譚 三十七丁裏 ○かけ込へはりかたをやる里のうば 狐聲 野にくらすやつらがままへ二三人 横好 三十八丁表 ○しかられる茶うりへへのこふみにじり 免丁 四丁目もまたちらほらと匂う也 狸聲 三十八丁裏 ○への子のやみ仕合する下女が部屋 芹丈 切遊び吾妻女郎に京男 蔦故 三十九丁表 ○流石法眼玄関にへのこなし 鼡弓 月の枕言葉くろうでありいす 狸聲 ○毛にさわる迄は地女むつかしい 長笑 あわもちもいいやいや二十九日 狸聲
二十一編 十五ケ所改竄、二十二丁目(前の分)一葉削除他へ更換
二丁表 ○ひろ袖を着て本縄がよく似合 二度とはつれぬとさくらへ下戸くくし 九丁表 ○若後家は上りものだと和尚しめ 村の嫁今戸のでくでひなまつり 十四丁裏 ○二かいへゆびをさしまおとこをかえし 中秋はどらにみのいるじぶんなり 十六丁表 ○はらんでもいいとはしからつれて来ル 四季折々のたわむれに母こまり 二十一丁表 ○ちちぶのるすにはらんだで大おこり 江戸のきゃくはく人ンほねをくだく也 二十二丁表 ○三ツふとんつもらせてみてきれる也 ○はせをはを寺でもらつてしかられる ○品川でうつたは寺でかつたどら ○げい者でどらをうつたのも百の内 ○あかるんだうんさいで出るやす大家 ○さい日の矢とりしりだのあたまだの ○大石の中にかるいしひとつあり ○下女鴨をなんにすべいと銭でとり ○品川でうつたは寺でかつたどら ○げい者でどらをうつたのも百の内 ○あかるんだうんさいで出るやす大家 ○さい日の矢とりしりだのあたまだの ○大石の中にかるいしひとつあり ○下女鴨をなんにすべいと銭でとり ○大日坊がいきてると七びようへ 二十二丁裏 ○里の母はるこんじょうで暑気見舞い ○芝居をかづけてむかしハ女郎かい ○いろは茶やぞくをそ引クにほねがおれ ○もう取ツて下ダさるなよとはしはうけ ○まさかの時しちに置くよろいなり ○にえゆよりひどくしたのハかいの国 ○あほうきうらせつしたのがぎぎなり ○通りものひるハまなこに血をそそぎ ○朝ハとうからおひんなり嫁をぬめ (異本此二十二丁目無し、二十編へ一句、二十二編へ二句、二十五編へ十一句、二十八編へ三句更換、もう取ツての句残) ス三丁裏 ○ぬれたのをさせろといえばくたいれた 狸声 いい天気ツ続いたあとで嫁になり 同 ○大へのこてんかんやみハ度々みられ カタル まわらねえやつと女房の櫛をうり 狸声 ○あおのけに成て女房をいやがらせ 糸柳 白いさし足袋なぞをはき遣リ手出ル 狸声 ○ちいさいへのこで間男座頭され 狐声 医者とみえようかと和尚初心也 狸声 ス四丁表 ○銀ばくの付たへのこを高尾ふり 豊好 黒介の一社衛にむすこ出ル 中葉 ス十二丁表 ○十ぶんにさせるで女房あきはてる 露舟 黒猫をみじかい玉の緒でつなぎ 玉簾 ○つらい事へのこをかぶるまつり也 麦茂 なな草をたたく所へくれの人 玉簾 ○気にいらぬへのこを女房なまできり 花扇 おとなに乳をふるまって乳母ふ首尾 如蕉 ス十二丁裏 ○おかしさハひる寝のへのこうごき出し 麦茂 うさんというにおい女房かぎ出し 五帆 ○いけつひをふんさくという遣リ手ばば 狐聲 五十〆かしてあみ笠にもならず 五帆
二十二編 八ケ所改竄、十丁目一葉削除他へ更換
三丁表 ○いんのこ〱そつとふせなさいな 毎日耳についた跡もちをなげ 九丁裏 ○はらんだをかくしてよめハしかられる かごにのるまで四郎兵衛がまえに立ち 十丁表 ○つみなくてはい所の月をつく田見る ○くどきぞんした女房ハきみわるし ○ふく水盆にかえり内々で入レ ○物もうのあきれてかえるずるいうち ○たる酒であるのに内義出すきなし ○たいくつなもんだとかたい川づかへ ○畳しくじょごんの多い十三日 ○手玉そつくりとようろよろかえり ○だあまつて針でつくまねうまいやつ 十丁裏 ○ぐそくひつ紙ひなひとつまぎれ込み ○もち米をけんきやうむしゃり〱かみ ○くろめこをみじかい玉の緒でつなぎ ○なな草をたたく所へくれの人 ○おとなに乳ふるまつて乳母不首尾 ○うさんというにおい女房かぎ出し ○五十〆かしてあみ笠にもならず ○百人のあたまの上にしつけかた ○むごい事むす子のそばにからす猫 (異本十丁目無し、二十一編へ五句、二十三編へ四句、二十四編へ二句更換、他七句未考) 十八丁表 ○素人つぼゆかもぶちぬくほどにふせ 通りものひるはまなこに血をそそぎ ○まくらぞうしもならぬぞと始皇いい 朝はとうからおひんなり嫁をぬめ 三十丁裏 ○間男の淋病こころおぼえあり 火を一つくんなはけちなかこい也 三十一丁表 ○はわれるがうるさく下女ハかしわもち 色香たえにして常の下駄にあらず 三十三丁表 ○孕らんじゃ出〱かこい下女 中葉 釣ぞめと見え冷麦をかつぎ込み 清江 四十二丁裏 ○させぬとけつを石にすると弘法 横好 ぼうし針ほつたて尻に成ってさし 青峨
二十三編 十二ケ所改竄
三十一丁裏 ○およつだぞさあ坪にしよう〱 狸声 げくわの箱小ぞうなんだかなめたがり 雨夕 ○たいがいな□はねる大へのこ カタル ばん付の銭を御門で乳母かりる 雨夕 三十七丁表 ○源左衛門いいおんみつに宿をかし 玉章 楊枝で一度かみそりではづかしき 間々 ○そくふつが寄ツてむすこをろうへ入レ 雅情 ふとんを三つあたかやつがやり 仙羽 四十丁裏 ○御神ンたくへのこにゆづる事ならず 左満 わらい通して鬼灯を嫁なくし 山路 ○ひたいにしわを寄セへのこを外科ハ見る 狐声 二階口またほうづきが鳴て来る 一口 ○馬やどのわらじへのこが大キそう 如雀 はかき吹きちる古市の三会目 車井 ○なめくじのようなへのこを下ケ迯ゲ 夢中 車留かた身をひろく嫁歩行 玉章 四十一丁表 ○厄年シのどう取り四の二でつぶされ 和笛 手玉そツくりとよウろ〱よろかえる 文集 四十二丁表 ○しょうちせぬ下女どこぞでハ大一座 久鳥 もち米をけんぎょうむしゃり〱かみ 久鳥 ○さがみ入道女だとやたらさせ 可候 ぐそくびつ紙ひと包みまぎれこみ 里山 ○茶うすのあした弟トがめし出され 雅情 だアまつてはりでつくまねうまいやつ 里山
二十四編 九ケ所改竄、壱葉十八句削除他へ更換
○石町へ内裏をうつす賑かさ ○三会め金のへる木を持て出る ○腹のへる芸にむすこはあきが来る ○後の月すんでにろうを破るとこ ○名ハちいさいが気の広い国家老 ○ねこも杓子もよし原の邪魔をする ○運ンのよさ土手へ来る迄男なり ○傾城の箪笥なんぞか有ハあり ○雁をいた其矢で化鳥射て落し ○いい天気続いたあとで嫁になり ○まハらねエやつと女房の櫛をかり ○白いさし足袋なぞをはき遣リ手出る ○医者と見えようかと和尚初心なり ○黒助の一社参りにむすこ出る ○死そうも無イて念仏搆を退キ ○惣とうこふきかけて呼ぶ初かつお ○江口の太夫ほうへんをいつそつき ○あしき有世の中で後家おもしろい (異本には此壱葉無し、本編中へ七句、二十一編へ五句更換、他六句未考、本編は丁附無き分ありて丁数前後一定せず) ○大さわぎ見附のうずを引ツこわし 後の月すんでにろうを破るとこ ○六十万石傾城おうぜう 運ンのよさ土手へ来る迄男なり ○はした銭でハはりうたハかえぬなり 雨譚 百人のあたまの上にしつけかた 和国 ○させるにハ北枕でもかまハない 横好 むごい事むす子のそばにからす猫 和国 ○いいわけに女房ひなしへ身をまかせ 清江 石町へ内裏をうつすにぎやかさ 丸水 ○よくみれバへのこよっぽどいいさいく 狸声 腹のへる芸にむすこはあきが来る 狭衣 ○三度目ハへんくわへのこをすての事 花雪 三会め金のへる木を持て出る 狭衣 ○下女が色かねて夜ばいと定メたり 豊好 ねこも杓子もよし原の邪魔をする 豊好 ○べつこうもへのこにされるふのわるさ 龜遊 名ハちいさいが気の広い国家老 龜遊
二十五編 十三ケ所改竄
二十四丁表 ○座敷ろうしゃれた本を貸し叱られる 下女鴨をなんにすべいと銭でとり ○間男と亭主伊勢物語リする 大石のなかにかるいしひとつあり ○びり出入かとしょうちゅうをついでやり さい日の矢とりしりたのあたまたの 二十四丁裏 ○後れの髪かき上げて女医者 大日坊がいきていると七びようへ ○お末から初手見せた手をもう二本 あかるんたうんさいて出るやす大家 ○けつをまくつて尻を抱く切落し げい者でどろをうつたのも百のうち ○雁つらを乱してばれる村合 品川でかつたは寺にかつたどら ○砕たやつきん玉までもはだをぬぎ はせおはを寺でもらつてしかられる ○御隠居ハのろりと出してなぜ笑う 三ツふとんつもらせてみてきれる也 二十五丁表 ○きん玉をうみ○りかたをお取立 にえゆよりひどくしたのハかいの国 ○生えた手中條姫ハ尼に成 あふうきうらせつしたのがはききなり ○子守をバのがすなええと丁半場 たいこ持じゅずでおがんでたたかるる ○泣組へ小便組がけちを付け 白むくをぬいでゆかたで床へ来る
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